ダイエット日記～諦めろ！海鮮丼編～

☆健康のためのウォーキング中に、セブン、ファミマ、ローソンのホットスナックをどうしても食べ歩いてしまう私が、いよいよダイエットを始めた――…。これは、その苦しみの記録である。

正午にバイトを終えた私は、パッコパコにお腹をすかせていた。

「今日は海鮮丼の気分よ」と１０時ぐらいからずっと思っていたので、昼食は決まっている。

学校の前にある５００円均一の海鮮丼屋で、オホーツク丼を買ってモリモリに頬張るのだ。

 (私は、お魚よりも魚卵とか甲殻類とかに惹かれるタイプの海鮮好きで、オホーツク丼はそういうのがいっぱい乗ってるので好き。)

駅のホームで缶コーヒーを飲んで一旦お腹を落ち着かせ、

やって来た電車に「さぁ、海の世界へ連れて行っておくれ！」と飛び乗った。

海の世界。

そう、電車が向かう先では、海鮮丼の上で舞い踊る生エビやイクラ、ウニ達が私を待っている。

ニモの新しいアトラクションに乗っている気分だ。出会うフレンズはみんな刺身の姿だが旨そうだ。

学校の最寄り駅に着き、早歩きで海鮮丼屋へ向かう。

メニューを見て、「うん、やっぱりオホーツク丼だ」と決めてから入口を覗いて驚いた。

海鮮丼を求める学生でギュウギュウだ！

いつもなら、待つ。「今日は海鮮丼だ」と決めていた同志たちと共に、海鮮丼が受け渡されるのを待つことぐらいなんの苦痛でもない。

ただ、今日の私は三限の授業に出なければならなかった。

駅に到着した時点で、三限の開始まであと３０分。

でも、海鮮丼なんて５分ぐらいあれば食べられる。大切にゆっくり食べたいと意識しても、１０分もあれば食べ終わってしまう。美味しいから。

飯に命をかけるが、時間はかけない。それが私のデブ道だ。歩まない方がいい。

だから、余裕だと思っていたが……！ こんなに並んでいては間に合うまい……！

「授業を犠牲にしてまで食う海鮮丼は、旨いか……？」自分に問う。

……旨い。

旨いだろうが、理性が働いた。授業には出たい。

私は呆然としながらセブンイレブンに向かった。

そして、おにぎり売り場をフラフラと彷徨い、高菜めんたいを握りしめた。

これ……でいいんだよなと、妥協にも似た気持ちでレジに並びながら気が付く。

「あんまりお腹減ってねぇな……。」

そう、駅のホームで飲んだコーヒーが効いていた。

手に握りしめているおにぎりを見つめながら、

「これは必要なおにぎりか？ でも私のことだし、授業を受けている間にお腹が空いて、集中できなくなるのでは？」と自分の心に問い続けた。

海鮮丼を楽しみに電車に乗ったときの自分を思い出す。

ワクワクしていた―――……。

高菜めんたいは大好きだ、でも―――……っ！！！

今の私は、ワクワクしていない……。

私は急いで列を抜け、高菜めんたいを棚に戻したのだ！！！！

そして、授業が行われる教室へ向かう。

まだ開始時間ではなかったので、座ってただ待っていた。

すると、お腹がパカッと音を立てた。

……胃に隙間ができた合図だ。

なんてことだ。

今になって、食欲が、湧き始めちまった……！

すぐさま購買に走る。走る。走る。

なにを買うか……。

レンジでチンするリゾット、旨そうだ。でも猫舌だ。授業に間に合わない！

チョコ、最近食べてないな。でもなんか今はしょっぺぇもの食べたい気分だ！

おにぎり、和風ツナマヨがある。大好き。でもさっきコンビニで返したのに！

そして、悩んだ末、安くて思ったよりカロリーも高くない、ポテトフライを選んだ。

ちなみにポテトフライとは、これである。じゃが塩バター。

似たようなのが色々あるが、おいしいという共通点があるので正直どれでもいい。

そして無事、お腹は授業を受けられる状態になった……！

大人しく、ギュルギュルと鳴くこともなく集中する胃……！

ポテトフライに感謝しながら、しかし私は思っていた。

「海鮮丼食べたいな」

授業終わり。

私は念願のオホーツク丼を手にしていた。

昼食タイムのピークは過ぎており、並ぶことなく購入できた。

店員のお兄さんに「並盛でよろしいですか？」と聞かれたときに、目に飛び込んできた「大盛り」の文字……。

グッとこらえ、「はい！」と答えた！

 友人と学食で卒業制作についての話し合いをしながら、モリモリ食べる。

友人は怪訝な顔などせず、

「(海老の)ミソ、イケる人？」「それなに？(カニミソを指しながら)」と、笑顔でミソに興味をもってくれた。めちゃめちゃいい友人だ。

今日の過酷なダイエットに耐え抜いた末に辿り着いた海鮮丼。

旨さが、体の節々まで染み渡った。

明日からは、運動も取り入れたりしよう。

風呂でバタ足とかしよう。頑張るぞ。

では、今日という良い日に、ごちそうさま。

つづく

今日のポジティブ

「私の足は太いんじゃなくて、パワパフガールズの足みたいなことだから」